覗き見

女性がけたたましい声をあげた。
見て! 電線の上に!」
電線ってどこの電線だ? 
ほかの者達は、あわてて双眼鏡を覗いた。

夕方、パンスターズ彗星が見られるということで、NPO法人エコ・エコ主催の境内での観察会「西の空を眺めよう 彗星が見られたらいいな」に参加した。
案内人が静かにこたえた。
「あれは、飛行機です」
寒さの中、震えながら、彗星を待った。
きょうは、空気が澄み切っていて、遠くの山々が見えた。さいたま市から秩父の山々がくっきりと、富士山がぼんやりと。
案内人がいった。
「きょうは、はずれかもしれません」
待っている間に、まわりは暗くなって、星が見え出した。まず見えたのは、木星だ。あいかわらず、一番に出てくる。
案内人はあきらめて、白い望遠鏡のレンズを真上に向けた。星が見られない方向を。
「昴が見えますよ」
のぞいてみると、なんにもないところに、なんと星がいくつか輝いているのではないか。まるで、ダイヤモンドだ。人間の目では見えないにかかわらず、美しい輝きが存在していたのだ。
飛行船も飛んできた。保険会社の名前が見える。みんな、個々にその名前をつぶやいた。
寒かったので帰ろうとしたら、主催者から温かいお茶が出た。こんな寒い場所で飲むお茶の温かさに心の温かさを感じた。主催者が毛布を敷いた。その上にすわると、温かさを感じた。そして、なんと温かいうどんのごちそうまでしていただいた。
いつのまにか、寒さをわすれた。
ふと、震災の方たちも、こんな経験をしたのかなとおもった。
中年の夫婦が、その毛布に寝転んで真っ暗な空を見上げながら、会話を始めた。
「星をこうやって見ると、楽だし・・・」
ふたりは二人の世界を楽しんでいるように、だまったままだった。なんとなくそんなふたりを見ると、幸せってこんなものかなとおもった。その間、案内人を交えて他の人達と、隕石のことや、地球の似た星が100個見つかったこと、子供の頃の古墳荒らし、赤とんぼが減ったことなど、話はつづいた。
まったく見知らぬ大人が、昔からお互いに知っているかのように、忘れかけた子どものように、話し続けた。星の輝く暗闇の世界が、われわれをやさしく抱いてくれた。

 

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コメント: 2
  • #1

    sekstelefon (火曜日, 31 10月 2017 22:28)

    Czu

  • #2

    sek stel (金曜日, 03 11月 2017 22:28)

    zużytą