無言館をたずねて

7月24日(日)に無言館を訪れた。そして、他の美術館で経験していない不思議な体験をした。

今という時間から自らをシャットアウトするかのように、厚いコンクリートに囲まれて、絵画が壁にかかっている。各々の絵のそばに、その絵の背景が簡潔に書かれた文字がある。その絵と文字の内容が重なって、その絵が描かれた時空に入り込んでしまった。

画家の顔を記憶に刻み込むかのように目を大きく丸くした老婆の声が聞こえる。

「わしより早く死ぬんじゃないぞ」

絵から見えない画家がいう。

「絵具代の代わりだ。貧乏百姓に味わえない裕福な家庭の団欒だ」

赤い色が鮮烈な若い女が、下向きにクスクス笑っている。ふたりだけの世界に浸って、画家が何かをいって笑わせたようだ。

そんな体験のあと、近くの信濃デッサン館を訪れた。絵を楽しむいつもの自分にもどっていた。

無言館

信濃デッサン館